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スポーツの理想的立ち位置を自治体・新聞から考える ~ 連載「こむすぽ」という新しいスポーツの価値観 第1回

石井邦知(こむすぽ編集長)

写真はイメージです写真はイメージです

 

埼玉県に国際スポーツ課という部署が新たに発足

8月1日に行われたオフラインミーティングで、「めざすものが分からない」という鋭い指摘を受けた「こむすぽ」。日々模索していますが、これまでに公開した20本弱の記事には、「障害者スポーツの経験が就職活動の内定につながった」という意外なスポーツの価値を示しているものもありますし、「老若男女楽しめて新しいつながりが生まれる」という価値をもたらした新種のスポーツを紹介した記事、スポーツを支える側から見た普段目に見えないストーリーも公開しました。少しずつではありますが、従来の「スポーツ=体育」という価値観とは異なった、こすむぽが掲げる「スポーツの新たな価値」に触れられる記事が提供できているのではないかと思います。

今回は、「こむすぽ」からではなく、スポーツの新たな価値観を分かりやすい形で提示している実例を紹介したいと思います。自治体の部署の新設と新聞記事のカテゴリーです。

まず自治体についてですが、埼玉県に国際スポーツ課という部署が今年度新設されました。以前から県庁には「スポーツ振興課」という部署がありましたから、スポーツに関連する部署が2つ以上存在するのは珍しいのではないでしょうか。

埼玉県国際スポーツ課Facebookページ埼玉県国際スポーツ課Facebookページ

2020年に東京でオリンピック・パラリンピックの開催が決まったことが大きく影響しているのでしょうが、埼玉県国際スポーツ課は、国際ジュニアサッカー大会の運営もするそうですから、何もオリンピック・パラリンピックのみを所管とする部署という訳ではなさそうです。

都道府県や市町村を問わず、スポーツに関連する部署は、教育委員会など教育関係の部署にあることが多いと思いますが、国際スポーツ課は県民生活部にあってスポーツ振興課が属する教育委員会とは異なります。

 新聞の国際欄に掲載されたスポーツの話題

もう一つは、新聞紙面の話です。今年に入り朝日新聞の国際欄に以下のような記事が掲載されていました。

<引用ここから>

エイズ予防、スポーツの力 ジンバブエ、15~49歳の15%感染

アフリカのジンバブエで、スポーツを通じたエイズの予防啓発活動が進められている。高校野球の練習に合わせたエイズ講習会の開催のほか、エイズウイルス(HIV)陽性者を集めた女性サッカーチームも活動中。高いHIV感染率の改善を目指す同国の関係者は、スポーツの役割に期待を寄せる。(2014.1.7 朝日新聞)

<引用ここまで>

この記事に目が留まった理由は、「ジンバブエで野球が行われている」というスポーツ関連ニュースが、スポーツ面以外のページで取り上げられていることだけではありません。「ルールが複雑という野球の特性を活かし、選手たちはじっくりと説明に耳を傾ける習慣が身につき、エイズ予防の講習の効果アップにもつながる」という新たな価値についても伝えられている点こそが珍しいと感じたのです。

以前、朝日新聞では「地域スポーツノート」という連載が、地域面ではなくスポーツ面に組まれていましたが、紹介した記事のようにスポーツ面以外のページで取り上げられることで、スポーツ面を見ない方々にもスポーツの持つ価値が伝わりやすくなり、また、スポーツと地域・社会の距離も縮まるのではないかと思います。

埼玉県と朝日新聞の記事の例は、まさにこむすぽが考えるスポーツのこれからの理想的立ち位置だと感じました。“体育”や“勝負の世界”といった従来のスポーツのイメージとは異なる新しい兆しのように感じましたし、今後こむすぽでも、スポーツの新しい力、新しい動きをより多くの皆さんにより分かりやすい形で伝えていきたいと思います。

 <告知>

9月24日(水)夜 こむすぽ オープンゼミ開催!

「こむすぽ」では今月初の試みでオープンゼミを開催します。

1回目のテーマは「スポーツを支える」。スポーツに関する活動もしている、こむすぽのライター2人の事例紹介も交えて、「スポーツを支える」ことの魅力について考えます。

「スポーツ」や「スポーツに関係するボランティア・NPO・団体」などに興味がある方でしたらどなたでもご参加いただけます。

◇開催日時:9月24日(水)19時~21時 ※希望者対象に懇親会あり

◇参加費(資料費):1000円

◇開催場所:がんばれ子供村2階コミュニティスペース(住所:東京都豊島区雑司ヶ谷3-12-9、池袋駅東口から徒歩15~20分)

申し込みはFacebookまたは support@comspo.net まで

 

 

 

 

 

石井 邦知 ISHII Kunitomo

 ishii-kao

2011年2月に埼玉県川口市を拠点に総合型地域スポーツクラブきゅぽらスポーツコミュニティを設立。主に(フットサルやバレーボールなどの)チームスポーツと(異業種交流、国際交流などの)テーマを掛け合わせた活動を行い、新たに30以上の新規の企画創出(協働を含む)を実現。

これまでの取り組みの標準化と他地域の展開を目指して、2014年3月に一般社団法人日本コムスポーツ協会を設立(代表理事)。

http://twitter.com/ComComSports