篠島 幹昌(ふじみ野ふぁいぶるクラブ会長)
埼玉県ふじみ野市で総合型地域スポーツクラブ「ふじみ野ふぁいぶるクラブ」を設立、会長兼クラブマネジャーを務める筆者の体験記。
きっかけは保護者の嘆き
長かった夏休みも終わりましたが、子どもの課題や自由研究を手伝ったという保護者は少なくないと思います。私たちの「ふじみ野ふぁいぶるクラブ」が開いた実験教室でも、夏休みの宿題の参考にしようと子どもたちや保護者が参加してくれました。
昨年1月から年数回開いているこの実験教室、参加希望者が定員(20人)の5倍になるほどの人気を集めています。始めるきっかけは、クラブのスポーツプログラムに参加した児童の保護者の声でした。その方は理系出身で、小学生の子ども達が実験を通じて、楽しみ・体験できるような機会が(地域に)十分にはないことを嘆いておられました。その話を聞き、「機会がないなら自分たちで作ろう」と手探りで始め、これまでに8回行いました。
●これまでに開催したプログラム
2013年
1月 色が変わる焼きそば(水溶液)
6月 自転車を分解しよう(自転車の仕組み)
8月 ドライアイスであそぼう(二酸化炭素)
11月 静電気モーターをつくろう(静電気)
2014年
2月 宇宙線を見よう(放射線)
5月 自転車を分解しよう(自転車の仕組み)
6月 電気を起こそう(電気)
8月 スイスイUFOをつくろう(摩擦)
今年の夏休みは、地域の児童館と連携し、摩擦をテーマにして行いました(下写真左)。過去8回の中で一番人気だったのが、昨年の夏休みの「ドライアイスであそぼう!」(同右)。受付開始から1~2時間で100件近い問い合わせがあったほどです。
こうしたイベントで倍率が5倍というのは、手前みそですが、なかなか珍しいと思います。「有名な講師でも呼んでいるのでは?」と思われそうですが、企画、運営などすべてふじみ野ふぁいぶるクラブのスタッフ、保護者および地域のボランティアで行っています。企画の中心は、教室開催のきっかけとなった理系出身の保護者ですし、運営や講師もすべて自分たち。中には技術系企業のエンジニアもいて、知識や経験を存分に発揮してくれています。
子ども理科離れを指摘する声は聞かれますが、自分たちの努力や工夫次第で、子どもたちにそうした機会を提供することはできるのです。またこの実験教室の開催を通して、働き盛りのお父さん達が特技や専門性を活かし、地域の活動に参加し、仲間の輪も広がるという利点も生まれ、お父さんスタッフの皆さんも楽しんで活動に参加してくれているようです。これからもこうした機会をつくることで、地域を盛り上げていければと考えています。
篠島 幹昌 SHINOJIMA Mikimasa
(総合型地域スポーツクラブ「ふじみ野ふぁいぶるクラブ」会長兼クラブマネジャー)
埼玉県ふじみ野市で総合型地域スポーツクラブを2009年3月設立。
クラブでは、バスケットボールを種目モデルとしているが、クラブが提供する仕組みとさまざまなプログラムを通じ、つながりをつくり、地域課題の改善を行なっていくような「スポーツ・文化でまちづくり」をテーマに日々奮闘中。
ふじみ野市バスケットボール協会会長/ふじみ野市体育協会理事/一般社団法人日本コムスポーツ協会理事
https://www.facebook.com/mshinojima