コミュニティ

ダイバーシティカップに見る、これからのスポーツイベント(場づくり)に求められる3つの要素

 

石井邦知(こむすぽ編集長)

 

こむすぽでは以前、今年の7月に開催されたダイバーシティ・フットサルカップの資金確保のためのクラウドファンディング挑戦について取り上げさせていただきました。

ホームレスや若年無業者、被災者、うつ病、LGBT……多様な背景の人たちがフットサルで交流する機会を! クラウドファンディング挑戦中~

当初掲げていた資金調達目標は1,000,000円でしたが、最終的に104名の方からの応援で1,011,750円が集まり、無事にクラウドファンディングを成功されました。

そして予定通り7/4(土)に国立代々木競技場フットサルコートで大会が開催され、参加チームは10チーム、ボランティアスタッフや見学者まで含め総参加者数は約250名にも上りました。また、今回の大会についてまとめられた「ダイバーシティカップ報告書(計43ページ)」がこのたび完成し、こむすぽ編集部にも送っていただきました。

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この報告書を拝見して、当日は随所に工夫が盛り込まれていたようですし、これからスポーツイベントを開催しようという方々にとってもヒントとなることを多く見受けました。特に「異質な人々をつなぐ」「親睦を深める」など、勝ち負けが第一ではないスポーツイベントを開催する上で今後ますます重要となるであろう要素について、今回3つの観点でお伝えしたいと思います。

1.参加条件にも多様性を認める(枠を設けすぎない)

今回の大会の参加チームは合計10チーム。ホームレスや若年無業者、うつ病、LGBTなど、いわゆる「社会的マイノリティ」という言葉でカテゴライズされるチームの参加があった一方で、「ピースボート(国際交流の船旅を企画している団体)」のような、カテゴライズされないチームの参加もありました。

精神障害者のフットサルリーグが存在するように、これまでの考え方ですと、「社会的マイノリティ」という枠に限定した大会になっていたかもしれませんが、ピースボートのようなチームが参加することで、多様性も相互理解も高まりより良くなるのではないかと考えます。

2.ルールを柔軟に工夫する

今回の大会は多様な方たちをつなぐという目的があるため、参加者のフットサルのレベルにばらつきがあるのは必然でしょう。

そこで、(チームごとのレベル差が大きくなり過ぎないよう)試合時間を短く(5分ハーフ)、交代は自由交代としたり、試合の前には、「自分の名前を伝えて、できるだけ多くの人と相手の目を見て握手」「自分の名前も伝えて、できるだけ多くの人とハイタッチ」などのアイスブレイクを実施したそうです。

こうしてスポーツそのもののルールを変える他、試合前後の雰囲気づくりのための工夫も重要になります。

3.スポーツ以外の交流の場を用意する

今回は大会だけでなく、交流会と題して、フットサル場に隣接するカフェを借りて、試合の合間の休憩と試合後に食事会を、食事会の後には「サッカーをするきっかけ・大会参加のきっかけ」「もっとサッカーを楽しむには何ができるか」などのテーマでテーブルトークが行われています。

最近はカフェやBBQ施設が併設されたフットサル施設も増えているようですし、しっかりと会話ができる場を設けられるか、そしてその会話が盛り上がるような仕掛けを用意できるかがポイントになってくると思います。

なお私自身、スポーツを通じて交流を促すための企画運営マニュアル【交流型スポーツ企画運営ガイド】を作成しました。

今回のテーマに関心があって、これからスポーツイベントを主催しようとしている方には、おススメです。
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交流型スポーツバナー

石井 邦知 ISHII Kunitomo

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2011年2月に埼玉県川口市を拠点に総合型地域スポーツクラブきゅぽらスポーツコミュニティを設立。主に(フットサルやバレーボールなどの)チームスポーツと(異業種交流、国際交流などの)テーマを掛け合わせた活動を行い、新たに30以上の新規の企画創出(協働を含む)を実現。

これまでの取り組みの標準化と他地域の展開を目指して、2014年3月に一般社団法人日本コムスポーツ協会を設立(代表理事)。

http://twitter.com/ComComSports