こむすぽ編集部
この熱狂を一時的なもので終わらせないために
2015年開催のラグビーW杯で、我らが日本代表は惜しくもベスト8入りを逃しましたが、初戦南アフリカ戦での歴史的勝利をはじめ3勝を挙げたことで、以前よりラグビーに関心を持つようになった方は多いのではないでしょうか?
そして次のW杯は2019年・日本で開催されます。この空前のラグビーブームを活かして2019年の成功を願っている自治体、企業、団体は多いでしょうが、(実際に試合が行われる開催地は別としても)総合型地域スポーツクラブなどが存在する各地域で、今後具体的にどのようなことをやっていくかのプランはこれからというところが多いかもしれません。
また、この熱狂を一過性のものにしないためにも競技人口の増加は不可欠です。しかし、ラグビーは他のスポーツに比べて当たりが激しく、ルールも複雑なためどうしても“するスポーツ”という観点で(特に大人が)いざやってみたいとは思いにくいと言えます。そこで考案されたのが初心者にも安全でわかりやすい『ウォーキングタグラグビー』です。
素人の大人でも楽しめるラグビー
こむすぽでは以前、ルールをアレンジしてラグビー素人の大人でも楽しめてしまう、この“ウォーキングタグラグビー”を取り上げさせていただきました。
2019年に日本でW杯!素人の大人が始められる「ラグビー」 –アラフォーライター・スポーツ体験記①–
また同時に、ウォーキングタグラグビーを開発し、主催しているNPO法人スポコレに社会人スポーツサークル運営の秘訣についてもインタビューさせていただきました。
常連メンバーが仲間を増やしてくれるのが嬉しい――【連載】社会人スポーツサークルの今(3)
スポコレでは毎月複数回、定期的に競技を実施している他、初心者から参加可能な「ウォーキングタグラグビー大会」を開催しています。
2011年12月の第1回大会から先日10月3日(土)の開催で7回目を迎え、今回はスタッフを入れて総勢65名、トータル8チームで行われました。
参加者は個人の方もいれば、チーム単位でエントリーすることもできます。そのチーム単位の参加というのもラグビーチームとは限らず、違う競技のチーム関係者が集まって参加されることもあるそうです。
さらに、スポコレならではのオリジナルルールの適用で、ただ勝つだけでなくマナーやチームワークが重視され、それが得点となる完全ポイント方式で行われているのも興味深い点です。
具体的には、
・予選リーグは8チームを4チームずつに分けたリーグ戦。
・勝ちが3ポイント、引き分けが1ポイント、4トライ以上で1ポイント、ノーペナルティで試合を終えると2ポイント、完封負け以外の1点差負けが1ポイント、チーム全員がトライをするとその時点で5ポイントがつきます。
・リーグ戦が終わると各リーグの1位2位がカップトーナメント、3位4位がプレートトーナメントへ進みます。ここからはポイントではなく、隠し選手方式(※)となります。
(※対戦相手を2人選択します。1人はトライしても0点の人。もう1人はトライすると2点になる人。相手チームは誰が選ばれているかはわかりません。試合が終わって双方隠し選手を発表し、点数を計算します。全員トライはトーナメント時で達成するとその時点で5点入ります)
実際トーナメントでは隠し選手方式や全員トライで逆転勝ちという事態が起こりました。優勝したチームは準決勝は隠し選手方式で勝ち、決勝戦で全員トライを達成し見事優勝しました。
またチームの順位を競うだけでなく、個人賞も用意しています。
MVP・トライ王・アシスト王・フェアプレー賞という一般的な表彰から、珍プレー賞、新人賞、レディース賞、たくさん走ったで賞、マナー賞といったユニークな賞も。トップリーグのクボタスピアーズや中央区ラグビー協会、またスポコレメンバーが所属する企業やお店から協賛をいただき賞品にしているそうです。
こうした工夫により、初心者からラグビー経験者まで一緒になって参加者全員が楽しむことができます。ウォーキングタグラグビー経験者(ラグビー経験者とは限りません)が初顔合わせの未経験者に丁寧に指導しながらパスを送りトライへと導き、笑顔でハイタッチをする姿はスポコレのテーマでもある“スポーツコミュニケーション”の象徴的シーンです。
こうしてスポコレで行われている「ウォーキングタグラグビー」のように入口のハードルを下げることが、ラグビーの楽しさを伝えていく一つの手段となるでしょう。また、2019年のラグビーW杯日本開催に向けて各地域で何ができるのか、私たちはどのように関わっていけるのか、この大会をヒントに考えるきっかけにしていきたいですね。
NPO法人スポコレ
http://www.spocolle.com/