久保田暁(日本ブラインドサッカー協会、SNS担当)
無料ツールでも分析できる
日本代表が過去最高の6位に入賞した2014年のブラインドサッカー世界選手権。代表の活躍もあってか、TVなどのメディアでも盛んに取り上げられ、来場者は延べ約6300人。初めて観戦有料化に踏み切ったにもかかわらず、決勝戦や日本戦はチケット完売という盛況でした。
ブラインドサッカー世界選手権は、ワールドカップと同様4年に1度、世界一を争う大会です。2014年は11月16日から24日まで、東京の国立代々木競技場フットサルコートで行われました。アジアでは初めての開催です。
今回JBFAはTwitterを活用し、試合の実況中継をしたり、会場の様子を伝えたりしたほか、メディア露出情報やチケット購入の呼びかけなどもしました。加えてTwitter上でブラインドサッカーを「体験したい」「見たい」と関心の高いツイートをした方に対し、来場を促すツイートやリツイートなどのコミュニケーション(アクティブサポート)を行いました。
いざ大会が始まってみると、嬉しいことにブラインドサッカーについてのツイート、リツイートなどは、大会期間中に約3万件に上りました。1日平均で3000件ですから、大会期間前10月のツイート数が約80件だったことを考えると、かなり伸びたことが分かります。さすがに、すべての方にコミュニケーションをとることができなくなりました。
無料ツールでも十分、分析できる
そんな状況で、無料のTwitter関連の分析ツールをつかって分析しました。
その一つが「KLOUT」です。これはソーシャルメディア上での影響力をスコア化したものです。たとえばJFAはスコア65、ドイツ・ブンデスリーガ、ドルトムントの香川真司選手はスコア63、Jリーグ浦和レッズの槙野智章選手はスコア63となっています。特にKLOUTスコアの高い、影響力のある方のなかで、「ブラインドサッカー」に言及している方を見つけて積極的にコミュニケーションを図りました。
「Twitter Analytics」も役立ちました。Twitter社が提供している、アカウント投稿に対する反応を分析できるツールです。投稿ごとのインプレッション(表示された回数)、反応(リツイートやURLのクリック回数など)が分かります。これをリアルタイムで見ると、まさに今どんなツイートが見られているのか、どんな投稿が求められるかが分かりました。
例えばURLを入れてツイートした場合と、入れずにした場合に違いがあるかというと、URLを入れたほうが、入れなかったツイートと比べて1投稿当りの反応(下表、「エンゲージ」の部分参照)が3倍ほど多いことが分かりました。なかでも、写真を付けた場合の反応は229件、写真がないと35件でしたから、実に6倍近く差が開きました。
こうしたデータをみて、「大会で初めてブラサカのことを知ったという人が多いので、観戦ルールやそもそも試合のルールなどが求められているのでは」と推測し、こうした情報を伝えようと意識して投稿しました。
反応の良かったのはどんな写真?
写真つき投稿でも、反応が良かったり悪かったりしました。そこで反応の良い写真をみると、選手・サポーターなど会場が一体となっている様子や試合後の興奮した様子、臨場感がある写真ほど反応が多かったことが分かりました。
大会期間中のTwitterでの投稿(ツイート、リツイートなど)はのべ約200万インプレッション(表示回数)に達しました。日本戦や決勝戦など、スタジアムを満員にすることに一部貢献出来たのではないかと思います。
世界選手権が終わったばかりですが、注目の大会が目白押しです。3月までの間にも、1月末まで関東地域のチームを対象とした「関東リーグ2014」が残り2節ありますし、3月には、日本代表が海外の強豪国と対戦する「さいたま市ノーマライゼーションカップ」、全国の地域リーグを勝ち上がったクラブが日本一を目指す「ブラインドサッカークラブチーム選手権」を開催します。ブラサカの個人向け体験プログラムも随時実施しております。コミュニケーション、チームビルディング、ダイバーシティ理解につながるプログラムです。
こうした工夫をしながら運営しているJBFAのTwitterなどソーシャルメディアを訪れ、活動へご支援いただければ嬉しいです。
プロフィール
久保田暁 KUBOTA Akira
1982年生まれ。地元愛知をこよなく愛する一児の父。SIerでSEを経験した後、株式会社ホットリンク(現在は関連のコンサルティング会社に出向中)でソーシャルデータ分析を中心としたマーケティングデータ分析を実施。2014年7月から、日本ブラインドサッカー協会で社会人スタッフとしてSNS運用などを担当。