石井邦知
埼玉県川口市でスポーツコミュニティを運営する中で筆者が感じた“開かれたスポーツコミュニティ”の作り方とは――。第2回は目指すべきコミュニティ像、スポーツコミュニティが果たすべき役割について考えます。
第2回 めざすべきは「コミュニティをつなぐコミュニティ」
総合型スポーツクラブは「地縁型」か「テーマ型」か
地域のコミュニティを整理すると、町会のような「地縁型」とNPOのような「テーマ型」と2つに分けられます。それでは各種“スポーツ団体”はどちらに位置づけられるでしょうか。 古くからある野球などのスポーツ少年団やママさんバレーは、エリアごとに区切ってチームが組織されている点で「地縁型」と言えるでしょう。これに対して、サッカークラブのように、特定の種目を専門に活動していて、かつメンバーが広範囲から集められている団体は「テーマ型」と言えます。 それでは「総合型地域スポーツクラブ」というスポーツコミュニティはどうでしょうか。 名称に“地域”とありますから「地縁型」ともいえますが、メンバーはその地域以外からも受け入れ、スポーツに特化して活動しているので「テーマ型」とも言えそうです。 私はスポーツコミュニティの価値は、他に存在する地縁型とテーマ型のコミュニティ、テーマ型のコミュニティ同士をつなぐ役割を担える部分にあると考えます。そこで私が運営するきゅぽらスポーツコミュニティが果たして来た役割を例に挙げたいと思います。
◆ 地縁型とテーマ型をつなげる動き
ある町会の子ども会活動で企画運営を担当しました。その子ども会は毎年ドッジボールをやっていたため、「飽きている子どもがいるかも」とのことで声がかかりました。その時はリングビー(注2)をしました。普段きゅぽらスポーツが行っているスポーツコンテンツを地縁型コミュニティに取り入れることができた一例です。きゅぽらスポーツコミュニティが定期的に活動している会場の近くのママさんバレーチームと交流試合を行ったこともあります。
◆ テーマ型同士をつなぐ動き
子育て支援の団体や、年少者外国人向け日本語教室の活動に、簡単なスポーツメニューを取りあげてもらったこともあります。写真は年少者外国人向け日本語教室の活動に出向き、ペットボトルをピンと見立ててリングビーボーリングをしたときのものです。このときはスポーツというよりは遊びのような内容でしたが、特に普段座って活動する形態が多い団体だと、身体を動かすスポーツを取り入れることは、参加者のリフレッシュになります。 スポーツの良さは、単なるプレイの楽しさだけではなく、地縁型、テーマ型を問わず様々なコミュニティ間をつなぐ役割も果たせることです。スポーツコミュニティが、いつもの活動に加えて、こうした役割を積極的に担おうとすることで、より開かれた状態になり、そのコミュニティの“存在価値”も高まるのではないでしょうか。 注2:リングビーとは柔らかい素材でできたフリスビーで、様々な投げ方や取り方で楽しめる遊具です。 参考URL: http://www.ringbee.jp/ (日本リングビー協会) 参考:きゅぽらスポーツコミュニティ http://www.cupolasports.com/
石井邦知 ISHII Kunitomo
2011年2月に埼玉県川口市を拠点に総合型地域スポーツクラブきゅぽらスポーツコミュニティを設立。主にチームスポーツを通じて、人と人がつながる仕組みづくりや一人ひとりが役割を発揮できる場の創造に取り組む。これまでの取り組みの標準化と他地域の展開を目指して、2014年3月に一般社団法人日本コムスポーツ協会を設立(代表理事)。
https://twitter.com/ComComSports