インタビュー

「『差』が明らかになったときの運営に気づかいを」サークル主宰者・相良直人さん――【連載】社会人スポーツサークルの今(1)

ジム以外で社会人がスポーツをする場、スポーツサークル。仕事でみな忙しいはずだが、誰かが運営・管理しなければならない。だが面倒なことを敬遠したがる人は多い。参加者のニーズも「特定のスポーツがしたい」「試合に勝ちたい」「出会いがほしい」「打ち上げで飲みたい」などさまざまで、継続自体が困難というサークルも少なくない。社会人スポーツサークルの主宰者や参加者に話を聴き、「続くサークルの秘訣」を浮き彫りにする。

大会の結果などで「差」が明らかになったときの運営には特に気をつかいます

今回お話を聞いた方
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相良直人さん(パーソナルトレーナー、コンフィデンテ・SOCIO SPORTS JAPANなど3団体代表)

プロフィール
SAGARA Naoto
2001年から大手フィットネスクラブで運動指導に従事。05年よりフリーランスとして活動。運動歴の浅い方や動くことに苦手意識を持つ方を中心に各種のレッスンやスポーツ、趣味を通じた生活環境の改善に貢献。独立後、パーソナルトレーナーとして整体院やスタジオなどで活動している。
https://www.facebook.com/sagaracoach

相良さんが代表を務めるサークルの情報

サークル名 頻度 参加者数 設立年月
1.コンフィデンテ (男性チーム) 週1 延べ60-100人/月 06年4月
2.COLEGA SOKA (女性チーム) 隔週 延べ35人/月 12年5月
3.SOCIO SPORTS JAPAN 月1 延べ10-20人/月 13年11月
スポーツの種類 ホームグラウンド
1.フットサル、ソサイチ(7人or8人制サッカー)、サッカー フットサルクラブ草加2001 荒川総合スポーツセンター
2.同上 フットサルクラブ草加2001
3.フットサル、ランニング、合気道、フィットネス、ラフティングなどレジャー フットサルポイント埼玉川口

 

いわゆる“スポーツ”にこだわらず自国の文化体験の場にもしたい

ーーどのように集客していますか? 集客の際のこだわりは?

Facebookのグループページと、一斉メール送信の2グループに分けて呼びかけています。 新規メンバーは口コミです。特に女性のいるチームはそうですね。男性の方も面識のある誰かとのつながりがほとんどですが、特別なルールなどは設けていません。

――代表になった経緯・設立した経緯を教えてください。

男友達と飲んでいて話したことですね。
もう9年くらい前ですが、自分たちはちょうど20代後半で、それぞれ家族ができるなど環境が変わり始めて、だんだん会いづらくなっていて。飲み会だけだと、継続して人を集めるコンセプトとして弱いし、エネルギーも続かない。自分はフィットネスクラブでインストラクターやトレーナー、整体などの施術を生業としていたこともあって、仲間との出会いのきっかけがサッカーやフットサルだったんです。それでスポーツで集まるということに自然になりました。その時、「仲間がいつでも帰って来られる“HOME”のようなチームをつくろう」と口にしたことはよく覚えています。

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女性チームについては、スタート時はほとんど私のお客さまたちでした。ちょうど私が独立して、フリーで活動し始めたころで、当時のお客さま同士に交流してもらうための場がつくりたかったんです。半分は仕事の感覚でしたが、指導料をとるのではなく、コート代などの実費負担はあるものの、無料でつながる場を提供するのがコンセプトでした。

――複数のスポーツを行っている理由はありますか? たとえば「間口を広げたい」「自分自身どれも好きなスポーツだから」「複数のほうが交友関係も広がると思ったか」「最初は一つにしようと思ったが、参加者から他のもやりたいという声があがってきたから」など。

まだ複数のスポーツをご紹介できているとはい難い段階ですが、今の例はいずれも当てはまりますね。ただ「スポーツ」とうたってはいますが、 “自国の文化”体験の場も提供したいと思っています。例えば合気道もそうですし、そのうち茶道や禅も取り入れたい。ドイツのスポーツクラブにならうわけではありませんが、お酒の席や、節目における宴会なども積極的に開催しています(笑)。

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――一番大変だったエピソード・やっててよかったと思えたエピソードを教えてください。

運営を継続することや集客が悩みですね。一人ひとりの満足を追求するにあたってゴールはないですが、誰かの望みを叶えると別の誰かが来られなくなってしまうというのは違うと思っています。

スポーツというコンテンツの良さでもあり難しいところでもあるのですが、スキルの有無、プレイヤーとしての巧拙、大会の成績など、参加者それぞれの「差」が顕在化したときの運営が難しいですね。そういうとき、参加者の受け止め方に必ずズレが生まれるんです。モチベーションが下がる人もいる。

だから、テーマを設定して公表したり、各々に意図や展望を対話して納得してもらったりします。時間が解決することもありますが、放っておいていいほうに進むとも限りません。

その点、コミュニティの中にある小さなグループが良いはけ口になることもあるので、グループ間のバランスに気をつけたり、逆にグループができるようにしたりということは心がけていますね。

裏で画策ばかりしていやらしく聞こえるかもしれませんが(笑)、関わっているサークルの参加者はみなさん、素敵な人たちばかりで、問題は自主的で消化しようとしてくれるので、自分は恵まれていると思いますね。

――代表者の役得はありますか? 例えば参加者からモテるとか(笑)。

残念ながらモテると感じられるような事はありませんが(笑)、必然的に多くの方と知り合いになりやすいですね。コミュニケーションをとることが多いです。逆に進行に気をとられると、発信が一方向だけになったり、孤立したりという懸念もありますが。あと、代表として集団でお店に行くと、ビール一杯おまけしてもらえたりすること(笑)。

――運営側から見て、「こんな参加者はいやだ!」というのはどんなタイプですか?

嫌というか、リスク回避のために集客に気をつけることはあります。例えば女性チームだと、コーチとして来てもらう男性をどんな人にするかとか、人数調整の配慮ですかね。

これは当たり前ですが、運営を妨げたり誰かを来にくくしたりする人、自分勝手な振る舞いをする人には厳しくいく時もありますし、時に遠ざかってもらうようにもします。ただ「こいつホント自分の事しか考えないなぁ」っていう人がだんだん変わっていくところを見ていると、「やっていて良かったなぁ」と思います。

――今後の予定や展望などを教えてください。

私がいなくても継続する仕組みづくりですね。法人化ということになるのかもしれませんし、それは他のメンバーとも話し合わなければと思っています。活動としては、スポーツの枠にとらわれず、またチームの壁を取り払う展開もしたい。交流の輪が膨らんで、参加者それぞれの可能性や機会が増えるといいと思います。

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<編集部より>

サークルが持つ可能性を感じさせる興味深い活動

相良さんの取り組みで面白いと感じるのは、サークルを3つ主宰されていて、しかもその3つが内容だけでなく、始まったきっかけや運営のやり方がそれぞれに異なっている点です。
特定のスポーツ(=フットサル)を楽しみ結束力を高める場、お客さん同士の交流を深める場、さらにスポーツに限らず自国の文化体験ができる場というように、サークルには様々な価値を生み出せるという可能性を感じさせてくれますね。

<告知>
「サークルのあり方を考えて議論しよう! 3月20日(金)開催~筆者の相良さんを講師に迎えて」

編集部としては、スポーツサークル運営の実態はwebにオープンになることが少ないと同時に、webでシェアするだけではもったいないとも考えており、今回相良さんに生でお話を伺う場を設けさせていただく運びとなりました。

サークル運営のリアルのお話をしていただく他、後半には参加者皆さんでディスカッションもできればと考えておりますので、この機会にスポーツサークルの今後のあり方について一緒に考えていきましょう!

◇開催日時:3月20日(金)19時半~ ※希望者対象に懇親会あり

◇参加費:1000円
※参加費はこむすぽの運営費として、大切に活用させていただきます

◇開催場所:がんばれ子供村2階コミュニティスペース(住所:東京都豊島区雑司ヶ谷3-12-9、池袋駅東口から徒歩15~20分)

申し込みはFacebookまたは support@comspo.net まで