こむすぽは、スポーツの新しい価値を発信するwebメディアです。
Community&Communication×Sports

開かれた地域スポーツコミュニティづくりのために必要なこと【第3回】

2014年7月2日
LINEで送る
Pocket

 

埼玉県川口市でスポーツコミュニティを運営する中で筆者が感じた“開かれたスポーツコミュニティ”の作り方とは――。第3回はスポーツの位置づけ方によって変わることについて考えます。

第3回 スポーツを目的ではなく手段として位置づける

スポーツがハードルを下げる

今年はじめ、こんなニュースに目が止まりました。

<引用ここから>
手話ダンスで健康づくり、「HAND SIGN」が平塚市に協力/神奈川
ダンスに手話を取り入れたパフォーマンスで活躍している5人グループ「HAND SIGN(ハンドサイン)」が、地元平塚市の健康づくり事業に協力することになった。
同市は、若者や高齢者への運動・スポーツ活動のきっかけづくりとして、ハンドサインの手話ダンスを活用した事業を企画。新年度予算案に170万円を盛り込んだ。(2014.2.13.神奈川新聞)
<引用ここまで>

20140702_1

この記事で市の担当者は「手話とダンスを掛け合わせることで、福祉の啓発になるだけでなく、運動・スポーツに興味のない人にもアプローチできる」と述べたといいます。

スポーツと異分野を組み合わせた、こうした取り組みが活発になりつつあります。スポーツごみ拾い、防災×スポーツ(バケツリレー・毛布で担架タイムトライアル等=写真=)などいろいろな企画が各地で行われています。

 

これらに共通しているのは、スポーツが”目的”ではなく”手段”として活用されている点です。手話、ごみ拾い、防災などいずれもただ取り組むのはハードルが高いかもしれませんが、「スポーツ」と一緒になることで、親しみやすくなるのではないでしょうか。
20140702_2

私が運営しているきゅぽらスポーツコミュニティでも、アイマスクをした状態で行うブラインドサッカーの体験会を3~4ヶ月に1回、日本代表の方を招いて開いています(写真)。そこで、アイマスクをつける体験のハードルを下げる効果を実感しています。
私自身、高校生の時に視覚障害者体験と題した授業で、アイマスクをして校内を歩く体験をしました。しかし同じアイマスクを付ける体験でも、学校の授業よりブラインドサッカーのほうがゲーム性があり、“楽しむ”ことができます。

日本ブラインドサッカー協会本部も、ビジョンに「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」と掲げています。ブラインドサッカーを手段と位置づけているのです。

スポーツを手段と位置づけることで、考えられるコンテンツも多様化し、コミュニティもより開かれた状態になるのです。

スポーツ課に限らず行政のあらゆる部署とつながるべき

コンテンツの多様化以外に、スポーツを手段ととらえることでどういう広がりが期待できるでしょうか。

それは「行政関係者とのつながり方」です。私は、これからのスポーツコミュニティには、“活動する市区町村の行政すべての部署とつながりを持つ”くらいの気概が必要だと思っています。

きゅぽらスポーツコミュニティでも、川口市の職員の方にお世話になっていますが、実はスポーツ課という部署との交流は皆無に等しく、お付き合いがあるのは他の部署の方がほとんどです。

たとえば市民生活部。JR川口駅東口徒歩1分のところに公共施設「かわぐち市民パートナーステーション」があり、(NPOなどを含めた)市民団体が利用できる会議室や、各市民活動分野のお知らせのチラシなどが設置されています。きゅぽらスポーツも、登録団体が使える共同事務所を使わせてもらっています。

もう一つは教育委員会生涯学習課です。生涯学習課では、小学校で放課後に通常の授業では味わえない文化体験などをする「放課後子ども教室」を実施する学校を増やしています。きゅぽらスポーツでは、子ども教室で児童にスポーツを楽しむ機会を提供したことがあります。また、他地域では総合型地域スポーツクラブが中心となって放課後教室を運営している例もあるそうです。今後は学童保育との連携もポイントになるのではないかと思います。

その他にも川口市の4~5ほどの部署の方と面識がありますが、これらを通じて市内の他のスポーツ団体と接触する機会はほとんどありません。市内で活動するスポーツコミュニティは多数あるはずですが、そのほとんどがスポーツ課以外の部署との交流を密にしようとしていないように思います。

 


 

石井邦知 ISHII Kunitomo

2011年2月に埼玉県川口市を拠点に総合型地域スポーツクラブきゅぽらスポーツコミュニティを設立。主にチームスポーツを通じて、人と人がつながる仕組みづくりや一人ひとりが役割を発揮できる場の創造に取り組む。これまでの取り組みの標準化と他地域の展開を目指して、2014年3月に一般社団法人日本コムスポーツ協会を設立(代表理事)。
https://twitter.com/ComComSports

kao4

LINEで送る
Pocket

Tagged under