六角 賢次(スポーツ団体立ち上げ準備中)
経験12年、自信をもって入ったサッカー部で直面した現実
2013年8月から15年5月までアメリカに留学した私は、小学一年から始めて中高と都合12年続けて自信があったサッカー部に渡米してすぐ入りましたが、日本とアメリカでは「サッカーのスタイル」「サッカーに対する考え方」がまったく異なり、苦労の連続でした。今回はその違いと学びをお伝えしたいと思います。
日本でやってきたサッカーのスタイルは、チームプレー、組織を大事にするものでした。パスをつなぎ、全員でゴールを目指し、全員でゴールを守ります。一方、アメリカでは個人プレーが多く、ドリブルからシュートまで個人でやります。評価されるのは、一人でできること。ディフェンダー(守備)でも攻撃の起点となれること、状況を打開できる能力が求められます。
ディフェンダーの私はある日、コーチからこう言われました。
「お前はロングパスが上手いから、ボールを持ったらまず相手コートのコーナーに向かってボールを蹴れ。そうすれば、前線の選手が走りチャンスが広がる」
日本で習ったパスをつなぐ“組織のサッカー”ではなく、“個の能力を最大限生かすサッカー”がそこにはありました。複数の国や人種から形成されているアメリカでは、サッカーでも組織より個人の能力を発揮することが優先されていると感じました。
日本人も足元の技術なら負けないが……
日本ではまた、“足元の技術”を大事にします。トラップ、ドリブルなどを正確にこなすテクニックは、器用な日本人だからこその高い技術は日本の一つの武器です。一方で、アメリカでは、個人の技術はさほど高くありません。私がアメリカでコーチに一番褒められたことがボールタッチの精度でした。練習の初めに行う基礎練習では誰にも劣らないパフォーマンスを披露することができました。
しかし、アメリカではこうした技術はほとんど必要とされませんでした。アメリカをはじめとする外国人のパワーやスピードは日本人とは比べものになりません。部員のほとんどが他のスポーツと兼任でサッカーをやっており、「さすがスポーツ大国アメリカ」と高い身体能力がありました。高い技術をも凌駕する身体能力を生かしたサッカーは、アメリカ特有のスタイルだと感じました。
日本とアメリカ両国のサッカーを経験して感じたことは、スポーツは国の特徴が現れる一つの文化だということ。他国のスポーツスタイルを知るということは、その国の文化を知ることなのかもしれません。今回の留学で、スポーツは世界を知るための一つのモノサシであると感じました。
MUSUMI Kenji
2013年、ヒューマンアカデミースポーツカレッジ米国大学プログラム修了。15年、米Alfred State College Liberal Arts-Social&Science(ニューヨーク州)修了。15年5月に帰国し、現在、人と人がつながるキッカケづくり、心が暖まる居場所づくりを目指し、スポーツやイベントで交流会を実施するSunny Spot~陽だまり~の開業に向けて準備中。