石井邦知(こむすぽ編集長)
ここ数年、
2020年に東京オリパラが
行なわれることも影響して
障害者スポーツへの関心が
高まっていますし、
福祉領域のみならず、
“スポーツ×ソーシャル”
領域への関心は
全体的に高まっている感じます。
また、スポーツ庁も、
医療費削減を掲げ、
スポーツの社会性を高めようとしていることが窺えます。
そして自身もこれまで、
総合型地域スポーツクラブの経営を通じて、
社会性を意識した企画に取り組んできましたが、
実績としては下記のようなものになります。
◇国際交流×バレーボール、多世代交流(親子交流)×バドミントン
◇ブラインドサッカー体験
◇上智大女子バレー部との交流試合&スキルアップ講座(ママさんバレーチームもご招待)
◇スポーツ婚活
◇ユニバーサル運動会、防災運動会
◇チャレンジ2020(リレーマラソン)への参加(ギネス記録にもチャレンジ)
◇大人の体力テスト実施
◇限られたスペースでできるファストスポーツレクの実施
◇謎解きバトル・水鉄砲遊び
このように、様々な企画を生み出してきましたが、
プロセスとして大事にしていることを3つの観点でまとめてみました!
1.楽しい活動には社会的意義を加えられないか?
意義ある活動には楽しさを加えられないか?
それを大切にしている原点には、
大学時代に
NPO活動に携わり、
正しいことをやっても
楽しくなければ人が集まらない
ことを経験したことが影響しています。
障害者理解には
障害者スポーツ体験がいいですし、
防災運動会という防災とスポーツを
掛け合わせた活動も様々な自治体で行われています。
(環境活動の一環でスポーツごみ拾いというイベントもあります)
一方でスポーツという楽しさを前面に出しつつも、
どのような方が場を求めているのかということを把握できると
社会的意義を高められると考えます。
スポーツの、
体を動かしながら理解を深められたり、
幅広い方を受け入れられる可能性を有する
という特性や
ゲーム化することによる楽しさ、
わかりやすさを活かして
プロモーションにつなげていく
というのが一つの重要な視点と考えています。
2.行政の手の届かない領域は何か?を考える
自身が取り組んでいる多世代交流なども
行政が手をつけられないテーマの一つと考えていますが、
スポーツ課などスポーツ系の部署ではできないことや、
部署間の横の連携がないとできないテーマが何なのか?
という視点で考えます。
実際に社会福祉協議会が主催となって、
障害者スポーツ体験の場を設けましたが、
職員の方で、福祉とスポーツの両方の分野に明るい方は
いらっしゃらないようでした。
究極を言えば、
“活動する市区町村の行政すべての部署とつながりを持つ”
くらいの気概で考えられるとよいと思います。
3.ハード関係の方々と連携する
ハード関係の方々はコンテンツ(ソフト面)で課題を抱えていることが多いです。
公共スポーツ施設を管理運営している指定管理者様から
イベントの依頼をいただき、実施したこともありますし、
新しい価値を生み出すにはハードとソフト関係者のコラボが有効と考えています。
そして公園も同様です。
以前、
(一社)日本公園緑地協会機関紙
「公園緑地」
の中でも執筆させていただきましたし、
グリーンズにも取り上げていただいたことがありますが、
公園で活用できる遊具は何か?
公園の限られたスペースでできることは何か?
といった視点で考えるとアイデアも膨らみますし、
社会性も自然と出てきます。
その他、大事にしていることとしては、
求められたことを形にしてきたということです。
他地域で子供向けのイベント
学童保育でのメニュー提供
ボールの投げ方教室のコンテンツ
児童発達支援教室の運動療育メニュー
など、
「こんなイメージでできるかな?」
と漠然ながらお声掛けいただいたところから
スタートし、試行錯誤を重ねて一つひとつ形にしていきました。
スポーツは、
誰にでも知られていて、馴染みがある反面、
社会課題として見た時に、
緊急性や重要性が高いものと捉えられにくい
性質を持ち合わせています。
そのため、社会性を高めるという観点で
企画を考えることは有効と言えます。
そして最終的にはコンセプト、コンテンツの質次第になってきます。
例えば、場所が駅から遠くても、日時が平日など集まりにくい時間だとしても、
コンセプト、コンテンツがしっかりしていれば、魅力が伝わり、
場所や日時に関係なく人が集まるものという前提に立って、
今後も魅力的な企画を生み出していきたいと思います。
石井 邦知 ISHII Kunitomo
2011年2月に埼玉県川口市を拠点に総合型地域スポーツクラブきゅぽらスポーツコミュニティを設立。
主に(フットサルやバレーボール、バスケなどの)チームスポーツと(異業種交流、国際交流などの)テーマを掛け合わせた活動からスタートし、その後もスポーツ×地域活性・まちづくり・ソーシャルビジネスの領域で事業を展開。
具体的には、親子向けのコミュニティをつくったり、▶地域スポーツ事業者のためのコミュニティ(通称こむすぽ)を主催する他、子供会やPTAなどの地域コミュニティに向けて、スポーツレクイベントを実施するなどしている。
また主催している”異業種交流(YORIAI)フットサル”を通じて、輪が広がり、まち活かし会社・NCS株式会社(空間運営等)を2018年に設立、代表取締役。