構成・濱田優(こむすぽ編集部)
こむすぽではこれまで、自身がプレイヤーとしてスポーツや団体運営に関わる人たちの体験談が記事になることが多かった。今回は、プレイヤーやチームを支える側、それも中からではなく、外側から支えている方に話を聞いた。具体的には、スポーツクラブやチームのスポンサードに積極的な男性に登場してもらう。こむすぽ主催の石井が運営している、きゅぽらスポーツコミュニティの異業種交流フットサルや親子スポーツに参加してくださっている石山光博さんだ。複数のチームを支援している石山さんに、その理由やきっかけなどを聞いた。
石山光博 ISHIYAMA Mitsuhiro
1962年北海道生まれ。東京都在住。5歳のときに埼玉県に引っ越し、浦和市で高校時代を過ごす。運送会社などを経て2000年、株式会社プラウドを創業、代表取締役に就任。学生時代はサッカーを経験。今でもプレイヤーとして、またスポーツ少年団の指導者としてサッカーに関わる。
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アマチュアでも上位クラブやチームは寄付・協賛受け入れ態勢がしっかりしている
——石山さんはいろいろなスポーツ団体やイベントのスポンサーをされていると伺いました。そもそもお仕事はスポーツ関連ではないかと思います。スポンサーに積極的な理由はされていらっしゃるんでしょうか?
仕事は株式会社プラウドというドライバーなどの人材派遣や業務請負など、物流業務の支援の会社を経営しています。仕事がスポーツに関係しているわけではないですが、自分や子どもたちがサッカー、フットサルをやっていることが大きいと思います。少年団の指導もするなかで、大きなチームや団体とは違い、地域のクラブやチームは恵まれた環境にあるわけではありません。スポーツを楽しんでいる自分が少しでも役に立ちたいと思ったこと、会社として社会貢献をしたいということが理由ですね。
具体的には、川口を拠点に活動しアヴェントゥーラ川口の女子フットサルチームの年間スポンサーをやっています。以前は男子のトップチームのスポンサーをしていたので、合わせると6年目ですね。知り合いの経営者に誘われたことが直接のきっかけですが、Jリーグを目指すという夢に共感しました。府中アスレティックFCは年間法人会員(アスレ・ザ・ソシオ ゴールド会員)になって3年目です。GMが仕事で知り合った友人ということで頼まれました。
あと日本ろう者サッカー協会の法人ソシオ会員にもなっています。ろう者の方と一緒にフットサルをすることがあって、その際にチラシをもらいました。フットサルのチームが今年アジアで2位になったと聞いて、W杯に向かって応援したいと思い、会員に10口加入させてもらいました。
このほかには、コパブラジルキッズフットサルは年3回行われる大会の協賛をしています。Facebookで知り合ったイラストレーターさんがデザインで協力しているときいて、自分も何かお手伝いをと思って決めました。それと、浦和近県招待少年サッカーフェスティバルも、自分が指導している少年団から頼まれて大会の広告協賛をしています。
——額はどれくらいですか?
アヴェントゥーラは十数万円プラスアルファといったところでしょうか。そのほかは年間、もしくは大会ごとに数万円程度協力しています。
——スポンサーになってみて感じたこと、思ったことは? 事前に想像していたことと違っていたことはありますか?
そうですね。やはり地域のクラブやアマチュアのスポーツのカテゴリーでも、上位のほうが組織がしっかりしていますね。(寄付・協賛の)受け入れ態勢がちゃんとしているので支払いもスムーズにできます。会社としてスポンサードしている部分もあるので、宣伝効果という点も多少気になっていたのですが、こちらも決して大きくないものの、効果は多少はあるように思います。あと、事前の想像と違っていたことはそんなにないです。
見返りを求める方には勧めづらいが……
——スポンサーになってよかったと思うことはなんですか?
自分はスポーツを観るのも好きなので、スポンサーとして観戦が楽しめます。やはり思い入れがありますから、スポンサーになっているチームが勝つと嬉しさもひとしおですよ。それにチームやメンバーからは応援していることを感謝してもらえるので、やりがいも感じられます。
——もし誰かに勧めるとしたら、どうやって勧めますか?
うーん、スポンサーとはいっても何か確かな見返りがあるわけではないので、知名度向上など確かな効果を求められるのであれば、なかなか勧めにくいですね。純粋にそのチームやクラブ、地域のためになりたいというのであれば話は別ですが……。
会社でスポンサーになっていますが、大きな宣伝効果は見込めない以上、経営者として大きな金額を出す決定はできませんから、そんなに出している訳でもありません。あくまでも、自身が育った土地、地域に対する還元ととらえています。サッカー関係が多いのは、自分がプレイヤーとして、指導者として関わってきた経験が多いので、チームやクラブを評価しやすいからです。もしもっと余裕があって、さらに縁があればサッカーやフットサル以外のスポーツのスポンサーになることも考えたいですね。
<編集部より>
企業とチームの理想的な関係性
「企業は確かな見返りを求めてスポンサーになり、効果が見込めないと思えば撤退する」というのが一般的かと思っていましたが、地域への還元という意味も含めでスポンサードしているというのは、企業とチームの理想的な関係性だなという印象を受けました。
ただしこの理想形に持っていくには、企業側の理解がないとできませんし、チーム側も様々な価値を示していかなくてはならず歩み寄りが重要になってくるでしょう。企業とチームが協力体制を築いていくには、正にこむすぽ的な発想が求められているのではと思いました。