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「スポーツ業界で就職をめざす若者と企業つなぐ」NPO理事長インタビュー アラフォーライター スポーツ体験記【番外編】

2015年10月14日
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NPO法人スポーツ業界おしごとラボ(すごラボ)の小村大樹理事長に話を伺った。

浅野慎二(エンジニア)

スポーツ業界で働くために必要な3つのこと

1990年代、高校生だった私の夢はメジャーリーグのようなスポーツ環境を日本で作ることだった。思い描いていたのは映画『フィールド・オブ・ドリームス』。天然芝のスタジアムに老若男女がホームタウンのチームを応援する風景だ。

ただ当時はどうやったらそれが実現できるのか分からなかった。大学には今のようにスポーツ学科などなかったし、そんなことを目指している人は周りにひとりもいなかった。

2012年、エンジニアの私はヒューマンアカデミー「スポーツマネジメント講座」という6カ月間(毎週全20回)に通うことにした。スポーツへの憧れがまだ残っていたのか、決して安くはない受講料を振り込むのに時間はかからなかった。スポーツ業界に転職できるのではないかという思いもあった。

講座を通して、またその後も関わる中で、スポーツ業界へ転身するために必要な3つのことは分かった。

  1. スキル
  2. 覚悟
  3. コネ

「スキル」と「覚悟」はだいたい想像がつくのではないだろうか。この2つは普通に転職する際にも必要だ。転職サイトから自分のスキルにあった求人を探しこれまでの環境を捨てる覚悟をもって挑めばいい。

では「コネ」とはいったいなんだろうか。

一度でもスポーツ業界への転職を考えた方ならご存じだろうが、求人サイトでスポーツ業界の仕事を検索してもまずヒットしない。求人情報にたどり着かないのとは言っても、業界が人材豊かで飽和状態ということではない。

 

「インターンからは採用されない」という現実

そのあたりの状況について、スポーツ業界への就職を志望する学生・社会人のサポートを目的として「NPO法人スポーツ業界おしごとラボ」(すごラボ)を起ち上げた小村大樹(おむら だいじゅ)さんはこう語る。

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小村大樹(おむらだいじゅ)

1976生、東京都出身。草創期のメンタルトレーナーとして多くのプロ野球選手、Jリーガー、オリンピック選手などをサポート。 教育アウトソーシング会社を経て2006年総合学園ヒューマンアカデミー入社。主にスポーツ系のカレッジ・講座の運営、学生指導、就職サポート、講師などを担当。 07年にスポーツマネジメント講座を立ち上げ、現在も運営。生徒以外にも業界を目指す人をサポートするため2015年NPO法人スポーツ業界おしごとラボを設立、理事長就任。

「求人したくても、求人情報を出せない会社はたくさんある。スポーツ業界は中小零細企業ばかりでお金がない、マンパワーも足りない。募集をして面接をする余裕がないので知人の紹介に頼るしかない。これを私は“裏求人”と呼んでいます」

小村さんはもともとトップアスリ―トのメンタルトレーナーから前述の「スポーツマネジメント講座」の開設・運営にも携わっており業界との関わりが深い。限られた人にしか”裏求人”情報をキャッチすることはできないのだが、最近増加している大学などのスポーツ学科ではどうなのだろうか?

「大学などの学校には、企業と学生の間に立つべき仲介人がいないのが現状。大学の就職課はたいてい、求人(インターン)を集めて紹介をするだけ。一般企業ならともかく、インターンの大学生を社員候補として見ることのほとんどないスポーツ業界では志望通り就職できる学生はほんの一握り。一方の企業側も、有能な人材は欲しいが人事課を置くほど余裕のあるところは少ない。」

ここにスポーツ業界の特殊性があるようだ。通常のインターンならば正社員への登用の例は少なくないはずだが最初から社員候補として見てもらえないのであれば単に人手不足を補うためのシステムにしか見えない。

学生側だって夢を持って挑んだ結果、タダ働き同然で(多少の礼金が出たとしても)アルバイト程度の業務だけ与えられて「ご苦労様でした」で終わるのでは、せっかく温めてきた100年の恋も冷めてしまう。慢性的な人手不足という事情は理解できるがこれは断じてインターンシップではない。こんな現状を自身のネットワークを駆使して打破したいと小村さんは考えている。

「スポーツ業界の会社からくる紹介求人(“裏求人”)は具体的です。求職者の『行きたい』『入りたい』というニーズにこたえることだけを目的にするのではなく、何ができる人材なのかを明確にし、個性や価値観を見てマッチングする必要がある。そのためにはひとりひとりとじっくりカウンセリングをして個々の想いを共有したうえで先方の求める能力を構築していきます。頃合いが良ければ社長直々に売り込みもします」

 

スポーツ界の“出雲大社”のような存在

正直なところ「裏求人」や「コネ」がないとチャンスが与えられないとは、なんと閉鎖的で革新性のない業界だと思ったりもするがこれが現実だ。

そもそも「裏求人」や「コネ」と表現するとネガティブイメージを抱いてしまうので「ご縁」という言葉に置き換えるが(小村さんも「ご縁」という表現をしていた)、せっかくの有望な人材も良い「ご縁」に恵まれなければ他の業界へ流れて行ってしまうのはもったいない。

そんな人材をプールしておき良い「ご縁」があれば、つなげて適材適所に人材を送り込む。すごラボはスポーツ業界全体の就職課を目指している。

最後に今回インタビューしてみて感じたすごラボについて、筆者が抱いたイメージは、業界と志望者をご縁で結ぶスポーツ界の出雲大社だ。

http://sgolab.or.jp/

ウェブサイトではゲストを囲んでの座談会の様子を「すごトーク」として公開している。座談会は随時開催中というから、スポーツ業界に片想い中の方は、一度詣でてみてはいかがだろうか。

プロフィール

浅野慎二 ASANO Shinji

asano

1974年生まれ。スポーツ好きのITエンジニア。仕事の傍らヒューマンアカデミーの『スポーツマネジメント講座』修了。もっと気軽にスポーツを楽しめる世界を目指し『こむすぽ』でのライター活動やテニスサークル『庭球を嗜む会』を主催。

 

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