コミュニティ

オフィスの事務椅子で商店街を走る? シャッター通りに活気を

K.S

注目度は高まるも買い物客の増加は難しく

20140716_isu-1郊外型ショッピングモールがたくさんでき、ネット通販も以前にも増して安く早くなった今、全国の商店街が、買い物客が減って困っています。そんな中、京都府京田辺市の「キララ商店街」が2009年に“理事長の思いつきで”始めたスポーツイベント「いす−1グランプリ」が全国規模のムーブメントになり、商店街に活気を取り戻すきっかけとしての期待が高まっています。

 

キララ商店街は、近鉄新田辺駅前にある約50店が加盟する小さな商店街。ご多分に漏れず、シャッターを下ろす店舗が後を絶ちませんでした。「キララちゃん」というゆるキャラをつくったものの、大きな効果は出ませんでした。あるとき、「身の回りのものを使って何か面白いことができないか」——と考えていた田原剛理事長が目をつけたのは何と事務椅子でした。どこのオフィスにもある何の変哲もないイスで商店街を競争するという、おふざけと言われてもおかしくない企画をつくり、なぜか実行することになりました。

 

競技は2種目で、商店街の特設コース(1周約180メートル)を2時間で何周できるかを競う種目(1チーム3人)と、直線30メートルでタイムを競う種目があります。12年の第4回にはコクヨやアスクルという家具メーカー関連チームが出場したこともあって、翌年の第5回には予想をはるかに超える60チーム以上の申し込みがあり、急きょ予選を行うほど盛況でした。

 

全国にも広がり、12年からは山形県新庄市の商店街が「いす−1東日本大会」を、13年からは徳島県鳴門市の商店街が「いす−1四国大会」を開いています。現在も日本全国の商店街から問い合わせがきているそうです。

 

町おこし目的で始められたこのイベント、当日は多数の見物人が多数集まるのですが、駅前に唯一あったコンビニも近く閉店するなど、日常的に買い物客が来るようにはなっていません。商店街では、「イベント自体をブランド化して商店街に目を向けてもらおう」と考えています。個人のリピーターや企業参加、全国の商店街のいす−1仲間が増えつつあり、少しずつではありますが、その目論みが現実のものになる予感はしています。「未来を担う子どもたちに下らない事にも本気になって取り組む大人の姿を見せることで、夢をもつ大切さを伝えたい」と語る理事長は、「ゆくゆくは世界進出、海外で開催したい」と大きな夢を持っています。その頃には、キララ商店街にも活気が戻っていることでしょう。

 

K.S.

家具屋勤務。週末はフットサルやマラソン大会、被災地支援や各種イベントへの参加のため日本中を飛び回っている。石井こむすぽ編集長とは旧知の間柄で、川口での活動やこむすぽの活動を支援している。

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