コミュニティ

W杯南ア大会のスタジアムが今どうなっているか、ご存じですか?

――11/1 早稲田祭で「東京五輪の後に何を残すべきか」考える

 酒井翼(早稲田大学公認サークルSports Of Japan幹事長、早大スポーツ科学部2年)

http://www.fifa.com/tournaments/archive/worldcup/southafrica2010/

祭りの後に残るもの

4年前、高校1年生だった私は、ワールドカップ南アフリカ大会を実家のテレビで観戦していました。本田圭祐選手の無回転フリーキックにしびれ、スペインの華麗なパスワークに魅了されるなど、世界レベルのプレイに熱狂しました。その一方で疑問に思ったことがありました。

「ワールドカップが終わった後、南アフリカの人々はこのスタジアムを使うのか?」

ということです。

南アフリカでもサッカーは人気があるのでしょうが、リーグがあるのかどうかも知りませんでした(調べたところ、「プレミアサッカーリーグ」があるそうです)し、たとえリーグがあるとしても、「それほど客は入らないのではないか?」と思いました。

この疑問に答えているのが、カナダの新聞The Globe and Mailのこの記事「How South Africa can offer Brazil a World Cup lesson」です(2014年7月8日付)。大西洋に面した「ケープタウン・スタジアム」が大きな負担になっていることを指摘しています。

多くの南アフリカのワールドカップスタジアムのように、このスタジアムは酷くお金を損失している。毎週数百人の観光客が訪れる4ドルのツアーに加え、ジャスティン・ビーバーやボン・ジョヴィのコンサートが時々催されるが、運営コストを賄うには全く足りない。55000人を収容出来るスタジアム(筆者注・ケープタウンスタジアム)は推定600万ドルから1000万ドルの赤字を毎年計上。お金のために取り壊すべきだと主張する住民もいる。

このスタジアムはアヤックス・ケープタウンFCというクラブが時折使用していますが、利用をやめるそうです。元々使用していたスタジアムが他にあることに加え、アクセスやピッチコンディションがいいとはいえないこと、コストもかかることなどが理由のようです。

ワールドカップに限らず、こうした世界的なメガイベントの後には、施設をはじめとするさまざまな遺産(レガシー)が開催地に生まれます。「イベント後に何を遺すか」ということを計画段階から考えておかなければ、南アのように、使われなくなっても維持費はかかるスタジアムという大きな負の遺産ができてしまいます。ただレガシーとは何も「負の遺産」のことだけをいうのではありませんし、有形のものとも限りません。南アの場合も、各種インフラの中には、交通網など今も地元住民のために役立っているものもありますし、観光客の増加といった経済に貢献している無形のレガシーも生まれています。

2020年、東京に再び聖火が返ってきます。
国立競技場の建設問題が議論を呼んでいます。豊洲・晴海・有明などの湾岸地区が特に重点的に開発されるそうです。東京がどう変わっていくのかを想像するとわくわくもしますが、同時に「オリンピック・パラリンピックの後に何を遺すのか」についても考えておくべきではないでしょうか。

私が所属するサークルSports Of Japanは早稲田祭初日の11月1日(土)、トークイベント「オリンピック・レガシーって何? ~Tokyo2020の未来を考える~」を開きます。五輪組織委員会の参与、間野義之氏や元ハンドボール日本代表キャプテンの東俊介氏らを迎え、2020年大会で遺せるものについて考えます。五輪などのメガイベントの前は、どうしても「2020年をどう迎えるか」という準備に目が向き、「その後」まで考えられなくなりがちです。しかしイベントの後の“未来”への影響も考えなければ、南アの二の舞になってしまいます。

私たちは後世に何を遺すべきでしょうか。「オリンピック・レガシー」という壮大で身近なテーマについて、一緒に考えてみていただければと思います。

 

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「オリンピック・レガシーって何? ~Tokyo2020の未来を考える~」

【日時】 11月1日(土) 午後2時~4時(午後1時半開場)
【会場】 早稲田大学早稲田キャンパス14号館401教室(140人収容)
【登壇者】
間野義之氏(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与)
東俊介氏(元ハンドボール日本代表キャプテン。日本スポーツ産業学会運営委員)
河島徳基氏(株式会社RIGHT STUFF取締役、元阪神タイガース通訳)
原田尚幸氏(和光大学教授)=司会進行
【参加費】無料(※事前予約は必要ありません)

https://www.facebook.com/events/1544285142472234/

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酒井翼 SAKAI Tsubasa

1995年東京都出身。早稲田大学スポーツ科学部2年。「​日本のスポーツ文化を変革する」という理念の下、活動する​早稲田大学公認サークルSport Of Japan幹事長。SOJはスポーツビジネスやスポーツ文化を現場や学問の視点から楽しみ、インタビューからイベントの企画・運営まで多岐に渡る。

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