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東京の中心でアマいと叫んだケモノ【完結編・後篇】 2/3ーーシロウトマラソン挑戦記 Road to Tokyo(7)

2014年3月24日
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俺を呼ぶ声

「まさるさん! まさるさん!」

野太い声が聞こえた。おもわず沿道をみると、ソフトバレー仲間が応援にきてくれていた。

いままで応援する一方で応援されたことがなかった私はこの時、どう対応していいのか分からなかった。シンジが助けに来てくれたときのエントリープラグの綾波の心境と言えば、オタクな読者諸氏には分かっていただけるだろうか。田町あたりで家族が応援してくれていたときも、ちょっと手を振って笑って「もう帰るの?」と大きく声をかける程度だった。めちゃ嬉しかったのに、照れくさかったのだ。

そもそも、これまでの自分のマラソンイベントへのかかわり方は、ランナーである妻のカメラマンとしてのみ。彼女はサブ3ランナーなので、応援に止まって休憩するという発想も必要もない。だから自分の応援をしてくれる人がいても、「止まって休む」ということを最初は考えなかった。

だから応援に来てくれた友達を引き連れて走ってしまった(ありがたいことに併走してくれた)。

でも足も辛かったし、差し入れも用意してくれているので、ちょっと止まってゼリー飲料でエネルギーを補給した。そして、「32kmのへんで休憩しましょう」といわれたとき、正直、一瞬、嬉しいけれど「えっ止まるの?」という思いもあった。その分、タイムロスになるからだ。とはいえ、休み休みでないともう辛い状況だったし、そ「32kmのへんに、新太郎さんもいますから」というので、とにかく再出発して合流することにした。

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©東京マラソン財団

そして32km。茅場町あたりだろうか。ここで新太郎さんと合流。追いかけてきてくれた友達にも会い、しばらく休憩した。焦りもあったが、もう休まないと辛すぎた。休憩でいろいろと励ましてもらえた。わざわざ休みをつぶして、差し入れまで買って応援にきてくれたことは本当に嬉しかった。

新太郎さんとは、ソフトバレー仲間のフォトグラファーの森口新太郎さんのこと。昔、ある上場企業の役員のポートレートをビシッと撮影してもらったのだが、そのときに彼が通っているソフバ教室の話を聞いたことが、自分がソフバと出合うきっかけ。仕事の面でも、プライベートの面でもお世話になっている、ダジャレの多めなステキカメラマンだ。公式サイト

そして新太郎さんと二人で走り出した。まだあと10kmはある。足の状態は限界に近く、休みながら走らなきゃいけなさそうだ。

実は正直、最初は一緒に走ることに気のりしなかった。友達と一緒に走ったら、彼のタイムを悪くしてしまうから申し訳ないからだ。

だがともかく走り出したら直後にまた家族が予想外にまた応援してくれていて、そこに幸運にも気づくことができた。もう帰ったものと思っていたので、これは嬉しいサプライズだった。

幸いなことに(?)新太郎さんも辛いようなので、少し休んでは頑張るということを繰り返しながら、とにかく進んだ。「そろそろ休みましょう」という言葉が何度も口をついて出そうになるが、我慢して我慢して、気力と「友達のタイムを悪くしてはいけない」という責任感だけで走った。

ようやく銀座に戻り、三越前を左折。ここで東に向かえたことでかなり気分的にラクになった。イメージとしてはもう豊洲、お台場まで一直線……という感じなのだが、なかなかどうしてここは距離がある。そして微妙に坂道が多い。ブラスバンドの応援もあり、ロッキーのテーマが聞こえてくるが、もう「エイドリアーン!」なんてやってる余裕はマジなかった。

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©東京マラソン財団

しばらく走ってようやく豊洲の34km。ついにキロ10分を超えている。

42km

ここは新太郎さんの家族と合流して休憩したのだった。正直もう限界LOVERSだったので、ここの休憩は必須だった。新太郎さんの美人ワイフ、妹さんたちから差し入れをもらった。いろいろすすめられたのだが、気持ち悪くなっていたこともあって、エネルギーの補給だけしようとだけもらって飲んだ。

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本番に備えて自分もエネルギー補給物は用意していた。アミノバイタルの顆粒やカフェインリキッド、エネルギーゼリー1本。だが全然足りなかった。「エイドがいろいろあるから大丈夫かな」と思っていたが、バナナなどはエネルギーになるのが時間がかかるし、エネルギー補給物は準備不足だった。

だから32km周辺で友達が用意してくれたゼリーや、新太郎さん家族からもらった補給物は本当に助かった。

いただいたのはザバスのピットイン。

初めて口にしたのだが、お汁粉か、はったい粉かと思わせるような、もったりとした口当たりで、とにかく甘かった。思わず「あまーーーーい」と叫びそうになった。いや叫んだかもしれない。でも、おいしかった。身体が求めていたのだろう。甘さがエネルギーとなって身体にしみわたる感じがした。多分、走ってなかったら飲めたもんじゃあなかったと思う。

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筆者(左)と新太郎さん

しばらく休み、エネルギーも補給。そしてここはもう豊洲。すぐむかいはお台場だ。気持ちはかなり楽になってきていた。実は何度もここからちょっとした坂があったのだが、何度か歩きながらもお台場へ到着した。なぜか最終盤、安倍首相のマスクをかぶったランナーがすぐそばにいて、沿道からの応援を独り占めしていたのが、微妙に精神的に辛かった(笑)。

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