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練習なし、試合だけでは「うまくなりたい」素人は楽しめない――人が集まる社会人スポーツサークルの秘訣

2014年10月8日
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濱田 優(こむすぽ編集部)

20141008

 

素人の「上達したい」気持ちに、明るく前向きな雰囲気でこたえる

社会人がスポーツをするとしたら、ジムや教室に入会するか、どこかのチームに入るのが一般的だと思う。前者はそれなりにお金もかかるので、気軽に始めるなら後者だろう。社会人が集まってやるスポーツは往々にして、「集まって試合をやって終わり」という形になりやすい気がする。だいたい時間がない中で集まるのだから、「そんなに時間はかけられないよ」いう言い分も分かる。たしかに仕方ないのだけれど、素人は基礎練習をしないと、いつまでも大して上達しない。いくら楽しめればいいと思っても、やはりうまくなったほうが、いいプレイができたほうが楽しめるはずだ。

そもそもそうしたチームに入るのもハードルが高い。知り合いに聞いたりチラシ、ウェブの掲示板を見たりして行くわけだが、雰囲気など行ってみないと分からないことが多い。たとえよさそうな雰囲気でも、メンバーになじめるかどうか不安だ。そんなことを考えていて、行くのを躊躇してしまう。「やってみたいなぁ」、「でもなぁ……」となってなかなか始められない、という人も多いのではないだろうか。

ところで自分は週1回、ソフトバレーの教室に通うようになって数カ月たつ。自分にとってはとても理想的な環境を見つけられたなと感謝している。その理由を考えてみた。

その教室は、誰かが有志でサークルをつくってやっているのではなく、区の関連施設で行われている。だから参加費は数百円と安く、また21時半くらいまでやっているので仕事帰りで遅く行っても楽しめる。こうした時間や場所、費用の点はまず大きい。

ただ、それ以上に本質的な「その教室がいい理由」がいくつかある。

その一つが、単に集まってバレーを楽しむだけでなく、ブロックやスパイクなどを先生が段階を踏んで教えてくれることだ。なぜブロックのときの手の挙げ方がこうなるのか、スパイクの前にはどうすべきか、レシーブをした後どうすればいいのかーー言われれば納得のことばかりだが、やったことがない素人にとってはとても勉強になる。

そしてもう一つ、とてもいい理由がある。それは、うまいプレイヤーたちが、初めて来た人たちをしっかりと歓迎し、素人のプレイでも、いいところを見つけて褒めていることだ。

たとえば私は、バレーは好きだが、まったくの素人だ。しかし最初から結構褒められた。

だが、何でもないところでわざとらしく褒められるのではない。下手なりにいいプレイをしたときなど、しっかりと見てくれていて、「今のスパイクはよかった」とか、「いまよく取れたね、反応が早くてちゃんと走り出してるからだね」とか、「スパイクには結びつかなかったけど、しっかりボールをもらいに走れてるのがすごい」といった具合に。

褒められることは、自分の下手さかげんを棚にあげてしまうくらい、やはり嬉しいもの。「次は取るぞ」「もっとうまくトスをあげてやる」という気持ちが一層強くなる。

中心となっている参加者が、初心者や初めての参加者に声をかけるのは、プレイ中だけではない。しつこくならない程度に練習の合間にも声かけをしているし、試合が始まるとき、人が多くてアブれるときは、初めて来た人をどんどん誘って試合に入ってもらうし、もちろん失敗しても責めたりしない。

まずは楽しんでもらおうという狙いであることは間違いないのだが、「最初から厳しくしたらまた来てくれないから」というネガティブな理由ではないように思える。

自分が心底楽しんでいるスポーツに少しでも興味をもってわざわざ仕事の後に来てくれたんだから、少しでも楽しんでほしい、バレーの楽しさを味わっていってほしい、という気持ちがあるのだと思う。

とはいえ、誰でもそういう声をかけられるわけではない。それは上手いから褒められる、下手だと褒められないということではなく性格のことで、そういう人が中心にいる団体では、自然と人が集まってくるのだと思う。

もちろん、ずっと褒められてばかりではない。先輩たちから指導されることもある。だがそれは「なぜ取れないんだ」とか「失敗するなよ」といった叱責ではない。

うまくなりたいという気持ちには、しっかりと的確にアドバイスがしてもらえている。

「いま取れなかったのは、足の出し方が悪かったから」「スパイクのタイミングが合わなかったのは、走り出しが早すぎるから」ーー。そうした前向きな厳しい指摘は、本当に「うまくなりたい」素人にはありがたいものだ。

大人が集まってスポーツをする、その教室やチームを存続していくために必要なこと。それは、言われてみれば当たり前に感じるが、実際は難しく、狙ってできることでもないことばかりだ。

基礎練習をおろそかにしないこと、試合だけではなく基礎練習はやったほうがいいという雰囲気・環境をつくること。そして、参加者が「もっとうまくなりたい」という気持ちを醸成すること、「楽しい」と思える雰囲気をつくることなのだ。

 

* この記事は筆者のブログで公開されたものです。

 

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